【3月4日 AFP】恋人を射殺したとして殺人罪に問われている南アフリカの両足義足のランナー、オスカー・ピストリウス(Oscar Pistorius)被告(27)の初公判が3日、首都プレトリア(Pretoria)の高等裁判所で開かれ、同被告は罪状認否で無罪を主張した。一方、検察側の証人となった近隣住民は、事件当夜に「血も凍るような叫び声」と銃声を聞いたと証言した。

 世界中でテレビ中継されている同裁判で、ピストリウス被告は、ヨハネスブルク(Johannesburg)の高級住宅地にある自宅で昨年のバレンタインデーの日、モデルでテレビのリアリティー番組にも出演者していた交際相手のリーバ・スティンカンプ(Reeva Steenkamp)さん(当時29)を射殺した罪に問われている。

 検察側が、同被告がスティンカンプさんを「不法かつ故意に殺害した」との起訴内容を告げると、同被告は「無罪です」と主張した。

 弁護人が読み上げた声明で同被告は、恋人を侵入者と勘違いして撃ってしまったと主張し、スティンカンプさんの死を「悲惨な事故」と表現。さらに、スティンカンプさんを射殺したことは認めたものの、「私たちの関係は愛のあるものだった」として、殺意については「断固否定する」と述べた。

 一方、検察側から最初に証言台に立った近隣住民のミシェル・バーガー(Michelle Burger)さんは、事件当日の午前3時ごろ、同被告の自宅から「血も凍るような叫び声」を聞き、夫と共に目を覚ましたと語った。「彼女は大声で叫び、助けを求めていた」「彼女の叫び声の直後に銃声を聞いた、4回あった」

 さらに、被告の弁護人の反対尋問では、「おびえきった叫び声を聞いたのは、銃声の前と、銃声の直後だった」と証言した。弁護人は、バーガーさんが銃声は4発あったと証言したのに対し、夫は5~6発と話していることなどを指摘し、証言内容が矛盾している可能性について問い詰めた。なお、バーガーさんの夫はまだ裁判で証言をしていない。

 この裁判は4日午前9時半(日本時間同日午後4時半)に再び開廷し、バーガーさんに対する弁護側の反対尋問が続けられる予定だ。(c)AFP/Stephanie FINDLAY