【3月1日 AFP】ウクライナ大統領を解任されたビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)氏(63)は28日、この1週間で初めて公の場に姿を現した。同氏はウクライナ国境から車で2時間足らずの場所にあるロシア南西部ロストフナドヌー(Rostov-on-Don)で記者会見を行い、自分は大統領の座から引き降ろされたのではないと主張し、欧州連合(EU)寄りの新政権を激しく非難した。

 同氏は、プレスの効いた背広にダークブルーのネクタイを締め、3本のウクライナ国旗の前に自信に満ちた様子で座り、首都キエフ(Kiev)を出たのは自動火器で攻撃され、自分の生命が脅かされたからだと説明。帰国する意思があると述べた。また、ウクライナの未来のために闘い続けると誓う一方、新政権が5月25日に前倒しでの実施を決めた大統領選をボイコットすると発表した。

「私は誰によっても大統領の座を追われていない。私自身と身近な者たちに差し迫った脅威のため、ウクライナを離れることを余儀なくされた」

 ヤヌコビッチ氏はEU寄りの暫定内閣を「ネオファシスト」と呼び、欧米の「無責任な政策」が危機を招いた原因だと非難した。また、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領と電話で話したことを明かした。

 ヤヌコビッチ氏は会見で、逃亡中にプーチン大統領がまだウクライナについて発言していなかったことに驚きを表明した。

 ロシア政府はヤヌコビッチ氏の発言を受けて短い声明を出し、プーチン大統領は複数のEU首脳との電話会談で「暴力のさらなる拡大を許さないことがきわめて重要であり、情勢の迅速な正常化が必要である」ことを強調したと明らかにしている。 (c)AFP/Germain MOYON, with Dmitry ZAKS in Kiev and Bertrand DE SAISSET in Simferopol, Ukraine