【2月27日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は26日、ウクライナとの国境付近を含むロシア西部と中部での緊急軍事演習を命じた。

 セルゲイ・ショイグ(Sergei Shoigu)国防相は露インタファクス通信(Interfax)を通じ、「総司令官(プーチン大統領)が、わが国の軍事的安全保障を脅かす危機的状況への軍の対処能力を確かめるという課題を課した」と発表した。

 今月26日から来月3日まで実施される軍事演習には、西部の軍管区に駐屯する陸空海軍の部隊が動員される。西部軍管区は、ウクライナ、ベラルーシの他、エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト三国や北極地域との境界に接する広大な地域。

 ウクライナでは、反政権デモの激化をきっかけに親ロシア派のビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)大統領が解任され、ロシア語話者が多数を占める南部のクリミア(Crimea)半島などの地域で、分離独立を求める声が上がり始めている。

 クリミアの港町シンフェロポリ(Simferopol)では26日、親ロシアのコサック(Cossack)に率いられた数千人が、イスラム教タタール人が率いる群集と対立し、催涙スプレーを使ったり瓶を投げつけ合ったりする騒ぎに発展。地元の保健当局によると男性1人が心臓発作で死亡、数人が負傷した。

「大量虐殺」の容疑で指名手配されているヤヌコビッチ前大統領は現在、2人の息子と重装備した小人数の護衛とともに、クリミアに潜伏しているとの見方が強い。

 オレクサンドル・トゥルチノフ(Oleksandr Turchynov)大統領代行はクリミアで暴動が起きることを懸念している。過去250年間にわたりロシア海軍の軍港都市となってきたセバストポリ(Sevastopol)では既に、群衆が市長を退陣に追い込み、後任にロシア市民権を持つ人物が選ばれている。(c)AFP/Dmitry ZAKS