【2月25日 AFP】乳幼児への話し掛けには、子どもとの絆を強めること以上の意味がある──。先ごろ行われた米国科学振興協会(American Association for the Advancement of ScienceAAAS)の年次会合で、子どもとのおしゃべりが、生涯の学習能力の土台を築く重要な脳の発達を促すことが報告された。

 乳幼児の注意を引くときには、高い声で歌うような声色になるかもしれないが、少なくとも語彙や文の構造を学ぶために最も良いのは、大人に話すのと同じように話し掛けることだという。

 フロリダ・アトランティック大学(Florida Atlantic University)の心理学者エリカ・ホフ(Erika Hoff)氏は、「どれだけたくさん話を聞くかではなく、どんな種類の話を聞くかが重要」だと説明し、「発話(の内容)は豊富で複雑でなければならない」と付け加えた。

 専門家らによれば、生い立ちに恵まれない子どもの学業成績が良くない大きな理由も、この乳幼児期の話し掛けにあるという。所得が低く教育水準が低い保護者の子どもは5歳になるころには、標準的な国語試験で、恵まれた環境の子どもに2年の遅れを取っている。

 こうした違いは脳内でも計測できると述べたのは、コロンビア大学(Columbia University)の神経学者で小児科医でもあるキンバリー・ノーブル氏だ。人間の脳は幼少期に驚くべき成長を遂げる。3歳になるころには1000兆もの神経結合を形成しており、「これらの結合が強化されるか、あるいは欠けたり狭められたりするかは、子ども時代の経験が非常に大きく影響する」という。

 ノーブル氏らの研究チームは、社会経済的地位が低い保護者と、高度な教育を受け、収入も多い保護者の子どもたちの脳を比較した。すると社会性や記憶を支える主要な認知体系でも違いがみられたが、最も大きな差異は言語発達をつかさどる部分に現れた。