【2月24日 AFP】アフリカのウガンダ議会が可決し国際的な非難を浴びている反同性愛法案について、反アパルトヘイト(人種隔離政策)運動の立役者としてノーベル平和賞を受賞した南アフリカのデズモンド・ツツ(Desmond Tutu)元大司教は23日、ナチス・ドイツ(Nazi)やアパルトヘイト政権による「愛を法律で禁じる」邪悪な試みを彷彿(ほうふつ)させると警告した。

 ウガンダの反同性愛法案は、同性愛者に終身刑を科すことを可能とする内容で、昨年12月に同国議会で圧倒的多数の賛成で可決された。法案ではまた、同性愛を広めることを違法としているほか、人々に同性愛者を告発するよう求めている。

 ツツ氏は声明で、この法案にウガンダのヨウェリ・カグタ・ムセベニ(Yoweri Kaguta Museveni)大統領が署名する意向を固めたことを知り「非常に落胆した」と表明。ムセベニ大統領に対し、同法案への署名よりも、むしろレイプや児童虐待、売買春などの取り締まりに力を入れるべきだと強く求めた。

「南アフリカではかつてアパルトヘイト警察が、白人と黒人が愛を営んでいると疑われる寝室を急襲していた。互いに愛し合うことを『犯罪』とみなされた人々や、警官たちの品位をおとしめる行為だった。われわれの社会の汚点だ」

 ツツ氏はさらに、ムセベニ大統領の科学顧問チームが出した「同性愛は遺伝学的に決まるのではなく習得される行動であり、したがって矯正することも可能だ」との結論も否定し、次のように述べた。

「人類の歴史では、階級やカースト、人種の異なる人同士の愛や結婚を法律で禁じようとする試みが数多く見られる。だが、愛に関する科学的根拠や遺伝学的論拠はない。偏見や差別を科学で正当化することはできない。道徳を用いた正当化も決してできない」

「ナチス・ドイツとアパルトヘイト時代の南アフリカなどが、これらの事実を証明している」 (c)AFP