【2月24日 AFP】ウクライナの最高会議(国会)は23日、オレクサンドル・トゥルチノフ(Oleksandr Turchynov)議長(49)を大統領代行に選出した。先に大統領の職を解任されたビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)氏は、反政権派と警官隊間で1週間続いた流血の衝突に対する報復を恐れて首都キエフ(Kiev)を脱出しており、ウクライナは新たな時代へと向かうこととなった。

 旧ソ連圏のウクライナで目まぐるしい展開を見せた3か月におよぶ混乱は前週末、最高会議が親ロシアのヤヌコビッチ大統領を解任し、5月25日の大統領選実施を決め、歴史的な転換点を迎えた。

 さらに最高会議は、「オレンジ革命(Orange Revolution)」の指導者の1人で、ヤヌコビッチ政権が誕生した2010年に職権乱用罪で禁錮7年の判決を受け服役中だったユリヤ・ティモシェンコ(Yulia Tymoshenko)元首相を釈放。

 大統領代行に選出された親欧米派のトゥルチノフ氏は、ティモシェンコ元首相に近い人物で、前日に最高会議議長に指名されたばかり。大統領代行として25日にも組閣を行う。トゥルチノフ氏はテレビ演説で「国民のための政府」の樹立を宣言するとともに、ロシア政府に対しウクライナの政権交代を尊重するよう求めた。

 だが、これら一連の最高会議の決定に憲法上の正当性があるかについては疑問符がつく。大統領を解任されたヤヌコビッチ氏は、22日にウクライナ東部で撮影したとされるテレビ映像の中で、ウクライナ政治を支配する「無法者たち」と闘うと言明している。同氏の現在の所在は不明だが、親ロシアの東部に潜伏しているとの臆測も出ている。

 1週間にわたった衝突で100人近い死者を出したキエフでは、23日までに警察官らの姿は街から消え、交通整理から政府庁舎の警備まで首都機能の全ては反政権デモ隊の管理下にある。

 トゥルチノフ氏の大統領代行選出について、欧米各国は支援を表明しており、同氏は早くも欧米からの信任を得た形だ。だがロシアは不快感と懸念を募らせており、スーザン・ライス(Susan Rice)米大統領補佐官(国家安全保障担当)は、親ロシアの政権樹立を目的にウクライナへの派兵を考えているならば、それは「大きな誤りだ」とロシアをけん制した。(c)AFP/Dmitry ZAKS