【2月19日 AFP】幹細胞の作成方法に「大変革をもたらす」との期待の声が上がっている新しい万能細胞「STAP細胞」について、論文の画像データなどについての疑念が上がったことを受け、理化学研究所(Riken)が調査を始めた。

 論文は、理化学研究所の小保方晴子(Haruko Obokata)氏が米国の研究者らとともに英科学誌ネイチャー(Nature)1月号に発表したもの。移植用の細胞組織を研究室で培養するための簡単でローテクな方法の概略が示され、急速に研究が進む幹細胞分野に革命をもたらす成果と称賛された。

 だが理化学研究所は、この論文の方法論と入力データに対する「疑問」が浮上していることを受け、研究所の内外から専門家を集めて論文の精査を行っていると発表した。

 国内メディアによると、問題となっているのは、研究チームが論文に誤った画像を掲載したとされる疑惑。理化学研究所の広報担当者は18日、論文に携わった研究者らに対する専門家らによる聞き取り調査がすでに始まっていると述べた。

 ただ、現時点で研究所は論文の成果を支持しており、「研究成果そのものについては揺るがない」と考えているという。

 幹細胞は全ての細胞に分化できる細胞で、脳や心臓、肝臓などの器官を形作るさまざまな種類の細胞になることが可能だ。小保方氏らの論文によると、生まれたてのマウスの白血球を酸性の溶液で25分間培養し、5分間遠心分離機にかけ、細胞が増殖可能な培養液の中で7日間培養した結果、細胞が未分化細胞に逆戻りした。研究チームはこの細胞を刺激惹起性多能性獲得(STAP)細胞と名付けた。(c)AFP