■水溶性成分が高濃度で

 オポチュニティーの研究副責任者である米ミズーリ(Missouri)州セントルイス(St. Louis)にあるワシントン大学(Washington University)のレイ・アービドソン(Ray Arvidson)氏によると、「ピナクル・アイランドを調べた後でオポチュニティーを少し移動させてみると、その場所は傾斜しており、坂のすぐ上にこの石と同じ珍しい外観の石が裏返しになっていた」という。「そこにオポチュニティーを行かせてみたところ、何かが動いてできた跡が見えた。ピナクル・アイランドはここから来たのだ」

 謎の石の正体の説明は面白味にかけるものだったが、その石自体は珍しいものであることも分かった。

 NASAによると、オポチュニティーのスペクトロメーターで詳細に調べたところ、「マンガン、硫黄などの元素が高い濃度で含まれていた。これらの水溶性の成分は水の作用によって石の中に濃縮されたことを示唆している」という。

 アービドソン氏は、「(これらの成分の濃縮は)火星の表面からごく浅いところで、比較的最近起きた可能性がある一方、ずっと昔に火星の表面からずっと深いところ起きたものが、たまたま浸食作用で石の上にあった物質が取り除かれ、オポチュニティーの車輪が当たる位置に出てきた可能性もある」と述べた。(c)AFP