【2月12日 AFP】英イングランド(England)のテムズ川(River Thames)流域では先月から続く降雨による洪水が拡大し、首都ロンドンの通勤圏内にも影響が出ている。

 テムズ川流域では数千世帯が浸水被害に遭っている。ロンドンとベッドタウンのレディング(Reading)を結ぶ英国で最も通勤客の多い鉄道路線も寸断され、ロンドン西部の富裕層が多い地域も、沼が点々とするラグーンのような風景と化している。

 流域のレイズバリー(Wraysbury)、ダチェット(Datchet)、チャーツィー(Chertsey)といった街や村では、これまでに1000世帯を超える住民が避難。14日までに再び強風と豪雨が予想されていることから、状況はさらに悪化するとみられ、救援活動に備え兵士1600人が待機している。


 今回の洪水に最初に襲われたのは、大部分が農村地帯のイングランド南西部サマセット(Somerset)州だったが、テムズ川下流も増水するにつれ、ロンドンに迫る南東部の街や村も飲み込まれている。

■キャメロン首相「救援費用に糸目はつけない」

 こうした中、 政府は現在、洪水への備えや対策が十分でなかったとして新たな批判にさらされている。

 デービッド・キャメロン(David Cameron)は11日、ダウニング街(Downing Street)の首相官邸で会見し、対策にかかる費用が疑問に付されることはないと約束した。

 首相は報道陣に対し「危険性が弱まる気配は全くない。今週中はさらに雨と強風が予想されている。回復する暇もないまま悪化する可能性がある」と述べ、さらに「救援活動において費用が問題になることはない。必要な金額がいくらであろうと、支払われる。どのような対策であれ、必要な措置を講じる」と語った。

 またキャメロン首相は、2010~14年の間に洪水防止策には24億ポンド(約4060億円)が投じられたが「このような異常気象で、過去250年間で最も雨が多い冬を迎えては、必要な予防措置をすべて整えておくのは至難の技だ」と述べた。

 キャメロン首相は来週、イスラエルとパレスチナ自治区への訪問を未公表で予定していたが、2010年の就任以来初となるはずだった同地域への訪問を中止し、政府の緊急事態対処会議(COBRA)を率いて対応にあたるとしている。(c)AFP/Robin MILLARD/Guy JACKSON