■豊富なヘリウム3やレアメタル

 米国の資産家ロバート・ビゲロー(Robert Bigelow)が創設した同企業は、膨らませて利用できる宇宙モジュールの開発に成功している。

 ビゲロー社のマイケル・ゴールド氏は、ISSへの物資輸送契約を例に出しながら、民間企業とNASAとのパートナーシップは「低い軌道ではかなりうまくいっている」とし、「月でもうまくいくはず。加えてこの財政緊縮のもと、民間の投資や技術力を活用するのは理にかなっている」とAFPにコメントした。

 ゴールド氏によれば、民間セクターと協力することで、政府がすべての資金を負担する宇宙ミッションより安価になるという。数十億ドルほどの資金があれば、10年以内に月への有人探査ミッションが実現する可能性もあると同氏は言う。

 同氏はまた、ヘリウム3の膨大な貯蔵量を引き合いに出しながら「月には商業的な潜在性が大いにある」と語る。ヘリウム3は地球では希少で、核融合のための理想的なクリーンエネルギー燃料の開発につながり得るとされる。

 月にはさらに、電化製品に多く使われ、世界的に需要が高まっている貴重なレアメタルも豊富に眠っている。「米国に限らず世界のさまざまな業種の多くの企業にとってビジネスチャンスが広がっている」とゴールド氏は述べ、欧州や日本も月探査に積極的であることを説明した。(c)AFP/Jean-Louis SANTINI