【2月11日 AFP】心臓の機能が著しく低下し、視覚と聴覚を失い始め、胃酸の逆流やリンパのはれ、そして原因不明の高熱に苦しんでいたある患者の悪化する症状に、医師たちは途方に暮れていた──。

 この病の謎を解決できたのは、米人気テレビシリーズ「Dr.HOUSE ―ドクター・ハウス―(House M.D.)」の天才医師グレゴリー・ハウスだけだ。ただし今回の診断はテレビの中の話ではなく、現実世界で行われたものだった。

 7日の英医学専門誌ランセット(Lancet)が、「ドクター・ハウス」のおかげで55歳の患者の命を救うことができたというドイツの医師たちについて伝えた。

 この患者は2012年5月、原因不明の症状を訴え、独マルバーグセンター(Marburg's Centre for Undiagnosed Diseases)に入院した。病歴を詳細に調べた医師らは、この患者が人工股関節置換手術を2度受けていることに注目した。

 チームは「ドクター・ハウス」のシーズン7のあるエピソードを思いだし、人工股関節の劣化によるコバルト中毒を疑った。

 CTスキャンと血液検査で、その疑いは確信となり、すぐに患者の金属製の人工股関節をセラミック製のものに取り換える手術を行った。

 一連の症状の原因は人工股関節の腐食だった。