【2月11日 AFP】国際オリンピック委員会(International Olympic CommitteeIOC)は10日、ロシアで開催中のソチ冬季五輪に向けた建設作業に従事した外国からの出稼ぎ労働者数百人に対する賃金が未払いになっているとされる問題をめぐり、本格的な調査に乗り出したことを明らかにした。

 IOCのマーク・アダムス(Mark Adams)広報部長は、ロシア企業から賃金が支払われていないと訴える労働者200人「全員の名簿」を提出した人権活動家らと、同委員会がソチ(Sochi)で面会し、「それを受けて本格的な調査を開始した」と、報道陣に語った。

 アダムス氏は、「(ロシアは)建設作業に関与したと特定された全ての企業約500社を調査したと承知している」と述べるとともに、IOCはその調査の経緯を調べているところだが、「賃金未払い事例の多くが調査されたということは確実に言える。多数の企業が調査を受け、罰金の支払いを命じられた」と話した。

 主に、旧ソ連圏で最貧国とされる中央アジアのタジキスタン、キルギス、ウズベキスタンから集まった数千人の出稼ぎ労働者らは、ソチ五輪のインフラ整備を計画通りに完工できるよう、強い圧力の下で建設作業に従事してきた。これら中央アジア諸国では、ロシアで働く出稼ぎ労働者からの母国への送金が経済に大きく貢献しており、タジキスタンではその総額が国内総生産(GDP)の半分を占めると推定されている。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights WatchHRW)は、ソチの雇用主らが出稼ぎ労働者らに対し「賃金の未払い、作業員の旅券の没収、最長で1日12時間もの労働の強制」といった搾取を行う事例が非常に多いと指摘していた。(c)AFP