論文の共同執筆者の1人、パスツール研究所の遺伝学者、エティエンヌ・パタン(Etienne Patin)氏は、AFPの取材に「2つの民族が最初に遭遇して社会的関係が確立されるとすぐに民族間の結婚が強い禁忌(タブー)となったことを今回の結果は示唆している。この種のタブーは今日もなおある程度見受けられる」と語る。

 同氏は「これまでの人類学的研究が示唆してきたように、このタブーは、他の人々がピグミーに対して抱いている森の不思議な力を守る人々としてのイメージや(移動型の狩猟採集民族としての)ピグミーの生活様式への反感なども関係しているのかもしれない」と付け加えた。

 だが、このタブーが約1000年前に部分的に解禁されたように思われる理由は不明だ。

 アフリカ中部に見られるこの傾向は、アフリカ大陸の南部で起きたことと全く異なっていると論文は述べている。南部では、影響力の強い農耕民族と狩猟採集民族サン(San)との遭遇が「遺伝子の速やかな交換をもたらした」という。

 ピグミーとバンツー系の人々の共通の祖先が暮らしていた時代は約6万年~7万年前であることがこれまでの研究で明らかになっている。2つの民族はその後何万年という時間を費やしてそれぞれ異なる環境に適応し、再び出会うことになる。

 今回の最新の研究結果は、遺伝的多様性は人間の集団の間にある地理的距離と密接な関連性があるとする、一般に受け入れられている学説に異議を唱えている。

 中央アフリカのピグミーはまさにその好例で、総人口は約20万人ほどだが、近隣に住む定住型民族をはるかにしのぐ遺伝的多様性を持っていると論文は指摘する。

 例えばウガンダのバトワ(Batwa)ピグミーは、500キロしか離れていないコンゴ民主共和国に住むムブティ(Mbuti)ピグミーと遺伝子的に明白に異なっている。

 さらにピグミーのゲノム(全遺伝情報)には、バンツー系の血を引く人々から受け継いだDNAが最大で50%含まれている可能性があることも研究チームは明らかにした。

 ピグミーの人々の身長は、受け継いだ非ピグミーのDNAの量に比例しており、「遺伝子的に言うと、ピグミーの要素が少ない人ほど、身長は高くなる」とパタン氏は述べている。(c)AFP/Laurent BANGUET