【2月3日 AFP】米フロリダ(Florida)州のレストランで、メニューにワニやカエルの料理を見かけることはあったが、このほど新たに「ニシキヘビ」が食材として仲間入りした。

 メキシコ湾岸の街、フロリダ州フォートマイヤーズ(Fort Myers)でエバン・ダニエルさんが経営するピザ店「エバンのご近所ピザ(Evan's Neighborhood Pizza)」の新メニューにお目見えしたのは、ビルマニシキヘビの肉をトッピングしたピザ。

 同州内のエバーグレーズ(Everglades)国立公園にちなんで、その名も「エバーグレーズピザ(Everglades Pizza)」と命名された。この国立公園では野生動物を保護するためビルマニシキヘビの捕獲が行われている。

 果たして、お味の方は?「なかなかいける。ちょっと噛み応えはあるけど」と、ミネソタ(Minnesot)州から訪れた観光客のマイクさんはいう。「味は鶏肉に近くて、もっと歯応えが強い感じね」と妻のベッキーさん。

 店主のダニエルさんも、ニシキヘビの肉には、やや独特の臭みがあると認める。調理ではまず、ヘビ肉を柔らかくするために塊ごと数時間、マリネ液に漬けこんだ後、薄切りにする。この後、オーブンで数分、ヘビ肉を下焼きする。「ヘビ肉のピンク色の部分が白くなったら出来上がりだ」。ピザ生地にトッピングする際には、切り分けた後の全てのカットにヘビ肉が行きわたるように配慮する。

 1枚45ドル(約4600円)と値段はかなり高めだが、早くもエバーグレーズピザには固定ファンがいるようだ。

 友人のマイク・グッキンさんによれば、ダニエルさんがピザにヘビ肉を用いるアイデアを思いついたのは、エバーグレーズ国立公園内でビルマニシキヘビの繁殖が大きな問題になっているとのニュースがきっかけだったという。

 自然保護団体ネイチャー・コンサーバンシー(Nature Conservancy)によれば、体長6メートルにもなるビルマニシキヘビが同国立公園で増え続け、公園内の生物多様性を脅かす存在となっている。ビルマニシキヘビは元来、フロリダに生息する種ではないため、ペットとしていたヘビが大きくなり、飼いきれなくなった飼い主が捨てたものが繁殖していったとみられる。

 だが、同州の現行の食品安全法では、捕獲したビルマニシキヘビをレストラン向けに食用処理して販売することは禁じられている。このため、ダニエルさんの店のエバーグレーズピザに使っているヘビ肉は実はフロリダ産ではなく、ベトナムから輸入した冷凍ヘビ肉だという。(c)AFP/Guillaume MEYER