【10月18日 AFP】「動物のオスの性器を使った鍋の素材で一番美味なのが、これだね」――中国で唯一の動物のペニス料理専門店「鍋里荘(Guolizhuang)」で長さ50センチもある馬のペニスを手にしたシェフ、シャオ・シャンさんは自信たっぷりに語る。

 国内に複数店舗を展開する鍋里荘の厨房のテーブルには、まるで異様な大きさのソーセージや筋張った丸い野菜のように、ロバ、ヤギ、犬、雄牛、鹿などのペニスや睾丸が並び、包丁でそぎ切りにされるのを待っている。中には1個200ドル(約2万円)もする「ごちそう」もある。

「馬のペニスは食感もいいし味もうまい。それに健康にもいいんだよ」と語るシャオさんは、13歳から動物のオスの生殖器を料理してきた。その調理法は数世代にわたってシャオさんの家族に引き継がれてきたものだ。

 北京(Beijing)市内の朝陽(Chaoyang)店の支店長によれば、「鍋里荘」は経済界や政府関係者らに人気がある。客の大半は男性で、勃起促進や精力増強効果を求めて来るという。「ペニスや睾丸を食べれば精力が高まり、豊かな性生活を送ることができます」と支店長は説明する。

■アジア各地にある精力増強料理

 動物の性器が精力増強に効果があるという科学的な裏付けはない。それでも、こうした効果を誇る多様な料理がアジア中にある。

 車の渋滞が激しいインドネシアの首都ジャカルタ(Jakarta)の旧市街の道路脇には、精力を増強したい男たちがヘビの生き血を飲ませる屋台に群がる。

 男たちはまず、気に入ったヘビを選ぶ。値段は1匹、7万ルピア(約600円)だ。屋台の店主は、客の選んだヘビが生きたまま丁寧に皮を剥ぐ。そして肉包丁で頭部を切り落とすと、頭が無くなったヘビを逆さにし、流れ出る血をコップに注ぐ。これに苦みを消すためにスプーン1杯の蜂蜜を加えたものを飲むのだ。ヘビの生き血は男性の精力増強の他、糖尿病や高血圧などにも効くと信じられている。

■鍋里荘で味わったペニス鍋

 再び北京の鍋里荘。常連客の47歳の男性は、鍋里荘に通うようになってから抜け毛が止まり、1日中元気一杯だという。「以前は疲れを取るために昼寝をしていたが、今はその必要もなくなった。人生のすべてが、もう最高だよ」

 鍋里荘の栄養士によれば、繁殖期に多くのメスと交尾をする雄鹿は特に絶倫とされ、同店の料理でも一番人気だという。「鹿のペニス1個で、雄牛のペニス3個分の効果があります」と、テーブルを回って効能を説明しているのは、女性スタッフのドゥ・ユエメイさん。動物の性生活に関する話も面白おかしく織り交ぜながら、客を盛り上げている。気恥ずかしい質問を受けることもあるが、女性の説明役を困らせようとする客には慣れているという。

 ドゥさんがお辞儀をして部屋を去ると、鹿の心臓とあひるのガラ、さらに漢方の生薬を煮出したスープに入れる素材がいよいよ登場する。最初に出て来たのは、蒸したヤギと雄牛のペニスのスライスだ。雄牛のペニスは、外見はイカの輪切りのように丸まり、味は親しみのある牛そのものだが、かみごたえがあり飲み込みにくい。ヤギのペニスはゴムのようで、多少筋が多くて風味がなく、しおれた薬草のようだった。

 その後、登場したロバと馬のペニスはどちらもベーコンの切れ端のようだったが、ロバは色が濃くて風味は強くも弱くもなく、馬は肉の強い香りがし、他の動物のペニスと最も違いがはっきりしていた。一方、睾丸は歯ごたえはどれも軽いが、ぱさついたものから豆腐やパテのようなものまで多様で、繊細な風味だった。

 この宴でただ一つ、外国から輸入されている素材がロシアの野犬のペニスだ。見かけは火が通り切っていない豚の皮のようだが、味はスパイシーで、ピリッと刺激さえある。素材とされているペニスの中で唯一、陰茎骨があり、食べる人の幸運を願って宴の最後に贈答用のような赤い箱に入って恭しく登場した。(c)AFP/Neil CONNOR