同世代を代表した個性派俳優、故フィリップ・シーモア・ホフマン
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1967年7月、ニューヨーク州フェアポート(Fairport)で、4人きょうだいの3番目として生まれた。両親は、9歳の時に離婚している。
学校で舞台と喜劇に興味を持ったが、スポーツにも熱心だった。その後、ニューヨーク大学のメディア・芸能学部(Tisch School of the Arts)に進学した。
「舞台は一番骨が折れる。でも、うまく演じるというのは常に難しい。ジャンルは関係ない」とエスクァイア誌のインタビューで語っている。
■脇役ながら主役を食う演技でブレーク
映画デビューは1991年のインディペンデント作品『Triple Bogey on a Par Five Hole』。1997年に、ポルノ業界を描いたアンダーソン監督の『ブギーナイツ』で、同性愛者であることを隠した撮影クルーを演じ、話題になった。しかし、事実上のブレーク作品となったのは、アンソニー・ミンゲラ(Anthony Minghella)監督の『リプリー』だろう。同作品にはマット・デイモン(Matt Damon)、ジュード・ロウ(Jude Law)、グウィネス・パルトロー(Gwyneth Paltrow)などの有名俳優がそろったが、ホフマンさんは二枚舌の良家の息子を演じ、脇役だったが人気をさらった。
ミンゲラ監督は生前、ホフマンさんを「時に、自分自身を煩わせる知性、そして演技に対する違和感に苦しむ」非凡な俳優と表現していた。
そして2005年、ベネット・ミラー(Bennett Miller)監督の『カポーティ』で主演を務める。ホフマンさんは同性愛者だったカポーティの女性的な振る舞いや高音の声だけでなく、芸術家としてのカポーティを奮い立て、そして最後には破滅に追い込んだパワフルなエネルギーも再現した。
『カポーティ』のあと、『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー(Charlie Wilson's War)』(2008年)、『ダウト ~あるカトリック学校で~(Doubt)』(2009年)、『ザ・マスター(The Master)』(2013年)で、アカデミー賞助演男優賞に3度ノミネートされている。
ジョン・パトリック・シャンリー(John Patrick Shanley)原作の舞台を映画化した『ダウト』では、未成年者に対する性的虐待疑惑のかかるカトリック教会の神父を熱演。疑いを持つシスターを演じたメリル・ストリープ(Meryl Streep)との白熱した言い争いが最高のシーンになった。(c)AFP/Jennie MATTHEW