【1月31日 AFP】米航空宇宙局(NASA)の有人月探査ミッション「アポロ(Apollo)計画」で使われ、唯一地球に戻ったカメラが、オーストリアの首都ウィーン(Vienna)で3月22日に競売にかけられることになった。競売主催者が30日、発表した。

 競売にかけられるのは、宇宙服の前面に装着可能な銀色のハッセルブラッド(Hasselblad)製箱形カメラ。1971年にアポロ15号で月に行ったジェームズ・アーウィン(James Irwin)飛行士がこのカメラを使って299枚の写真を撮影した。現在所有しているイタリア人収集家が売りに出す。

 主催オークションハウス「ヴェストリヒト(Westlicht)」のオーナー、ペーター・ケルン(Peter Coeln)氏はAFPに、推定価格は15万~20万ユーロ(約2100万~2800万円)と語った。

 同氏によると、NASAは1969~72年に打ち上げられたアポロ11~17号で合計14台のカメラを月に送り出したが、重さ数キロにもなるカメラは、月の石を持ち帰るための余裕を確保するため月に残してくることが普通で、地球に持ち帰られたのはこの1台だけだった。

 このカメラは、故障でフィルムの取り出しに問題が発生したため持ち帰られたのではないかとケルン氏は話している。(c)AFP