【1月27日 AFP】ウクライナ野党は26日、反政権デモの混乱収拾のためビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)大統領が野党側に提示した妥協案は不十分との見解を示した。一方の反政権デモは同日も拡大を続け、首都キエフ(Kiev)の外務省庁舎がデモ隊により占拠された他、同大統領支持派の多い同国東部までも波及している。

 ヤヌコビッチ大統領は25日、野党指導者を首相などの座に就かせる妥協案を提案していたが、野党側は翌26日、「野党勢力の分裂を狙う『毒入り』の提案だ」と独紙ビルト日曜版(Bild am Sonntag)に述べ、内容が不十分だとの見解を示した。一方で、大統領側との協議は継続する意向を見せている。

 ウクライナでは反政権デモ隊と治安部隊との衝突が激化して一週間になる。26日には衝突中に銃撃で死亡した活動家3人の葬儀が首都キエフで営まれ、うち1人の葬儀には主要3野党の党首全員が参列した。

 反政権デモは昨年11月、ロシアからの圧力を受けたヤヌコビッチ大統領が、欧州連合(EU)との関係を強化する連合協定の締結を見送ったことへの抗議として始まり、現在では親ロシアのヤヌコビッチ大統領の退陣を求める全面闘争の様相を呈している。

 現地のAFP特派員によると、依然として高い緊張が続くキエフでは26日夜、数十人のデモ隊が司法省を占拠。庁舎の窓ガラスを割り、周囲にゴミ箱でバリケードを築いた。

 一方、これまでヤヌコビッチ大統領寄りとみられていた東部ドニエプロペトロフスク(Dniepropetrovsk)、北東部スムイ(Sumy)、南東部ザポリージャ(Zaporizhya)を含む4都市でも、市庁舎が数千人の活動家らにより占拠された。(c)AFP/Stuart WILLIAMS, Oleksandr SAVOCHENKO