【1月17日 AFP】南スーダンに派遣されている国連(UN)の人権問題担当特使は16日、縛られた上で射殺された複数の遺体を路上で目撃したと発表した。政府軍と反乱軍の戦闘が続く南スーダンで横行する人権侵害に対し、国連は警告を強化している。

 国連は、昨年12月25日から戦闘が続いている南スーダンで、サルバ・キール(Salva Kiir)大統領を支持する政府軍の部隊と、リヤク・マシャール(Riek Machar)前副大統領が率いる反乱部隊がそれぞれ残虐行為を行っていると非難している。

 数都市から大量虐殺の報告が入る中、国連のイワン・シモノビッチ(Ivan Simonovic)事務次長補は、現在92人の国連調査員が現地入りしており、約2週間後に最初の報告書を公表する予定だと語った。

 シモノビッチ氏はユニティ(Unity)州の州都ベンティウ(Bentiu)を訪問後、対立する部隊同士の攻撃が絶えず、同市は「ゴーストタウン」化していると述べた。同市のほぼ全人口に当たる4万人がすでに避難している。

 南スーダンでの戦闘により、これまでに最大1万人が殺害されていると複数の人権団体が指摘しており、国連の潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は対立する双方に「責任がある」と警告している。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights WatchHRW)が16日に発表した報告書によると、首都ジュバ(Juba)ではヌエル人を標的にした政府軍による「殺人行為が相次いで発生」しており、昨年12月16日には同市グデレ(Gudele)地区で200~300人が虐殺されたという。

 南スーダン各地に設置されている国連基地には、これまでに6万5000人以上が避難しているとされる。国連は武器の捜索などの治安維持策を同国全土で強化したと発表している。(c)AFP