【1月8日 AFP】南極海の氷に阻まれ、立ち往生していたロシアの調査船「アカデミック・ショカリスキー(MV Akademik Shokalskiy)」号は8日、浮氷原を脱した。これにより、各国の砕氷船などが参加して行われていた同船の複雑な救出活動が終了した。現地に向かっている途中だった米沿岸警備隊(US Coast Guard)の砕氷船ポーラースター(Polar Star)号も、救出活動の任務を解かれた。

 豪海洋安全局(Australian Maritime Safety AuthorityAMSA)は8日、アカデミック・ショカリスキーと中国の砕氷船「雪龍(Xue Long)」号が自力で航行を再開できるようになり、救助を必要としなくなったことを明らかにした。

 アカデミック・ショカリスキー号は先月24日、海上で身動きが取れなくなり、豪当局が中心となり、仏中米独の各国当局が協力して救出にあたっていた。

 救助の要請を受け、砕氷力の高い雪龍号がまず急行したが、科学者や旅客、乗組員合わせて74人を乗せたアカデミック・ショカリスキー号を助け出すことはできなかった。さらに雪龍号自らも航行不可能となり、立ち往生していた。

■米砕氷船は本来の任務へ

 救助活動の終了を受け、全長399フィート(約122メートル)のポーラースター号は、南極の米マクマード基地(McMurdo Station)と南極点にある米アムンゼン・スコット基地(US Amundsen-Scott South Pole Station)への物資の補給と燃料輸送という、南半球の夏季に実施している本来の任務に戻る。

 沿岸警備隊のポール・F・ズーカンフト(Paul F. Zukunft)中将は、「雪龍号とアカデミック・ショカリスキー号が航行できるようになったことを非常に嬉しく思う。今回の一件は、動的で厳しい南極の活動環境と、ポーラースター号級の砕氷船の必要性を強調するものとなった」

■露船を助けたのは「風」

 AMSAによると、アカデミック・ショカリスキーのイーゴリ・キセリョフ(Igor Kiselyov)船長は各国の関係者らに対して7日、西風に変わったことから同船の「周囲を取り囲んでいた氷にひびが入り始めた」と連絡。そのすぐ後には、ゆっくりと航行し始めたことを伝えていた。

 22人の乗員が残っている同船は12時間かかって浮氷原から抜け出し、現在はニュージーランドに向かっているという。(c)AFP