■かつては都市と地方の「橋渡し」役

 インド人の4分の1は今も読み書きができない。しかし、携帯電話の爆発的普及と銀行振り込みのおかげで、口述して手紙を代筆してもらい、それを郵便で送るといった面倒で時間のかかる手段を人々がわざわざ選ぶことはほとんどなくなった。

「今は携帯があるから、5分で話せる」とアーメドさんはいう。自分もインタビュー中に何度も携帯電話をチェックしていた。「携帯なしでは何もできない世の中になった」

 5人の子供を持つアーメドさんの1日の稼ぎは200~400ルピー(330~670円相当)だ。家族を養っていくには十分だが、別のデスクで仕事をする同僚は、その日の午前中に10ルピーしか稼ぐことができなかったと不満を漏らしていた。

 手紙書きたちが話していると、欧米からのバックパッカー2人が土産を小包で送りたいとやって来た。さらに地元の年配の客が、郵便為替を送るのに書類の記入を手伝ってほしいと訪ねて来た。

 彼ら手紙書きが最近引き受けるようになったこうした事務仕事は、かつて都市と地方を結ぶ「橋渡し役」だったころの地位とはかけ離れている。