目撃者の男性が同誌に語ったところによれば、シューマッハ氏は「最速でも時速20キロメートル」ほどの「ゆったりとした」ペースで滑走していた。男性は現在、動画をフランス当局に提出することを考えている。

 シューマッハ氏のマネジャーであるサビーネ・ケム(Sabine Kehm)氏は、シューマッハ氏は「どうやら直前に転倒していた友人を助けようとして」事故に遭ったらしく、そのため速度を出していた可能性は低いとコメントしており、目撃者の発言はこれを裏付けるものになり得る。

 その一方で、シューマッハ氏の治療にあたっている医師団は先週行った記者会見で、同氏は転倒の際にかなりの速度で滑っていたと語った。

 事故に関する意見の食い違いについて、専門家のエドゥアール・ブールジャン(Edouard Bourgin)氏は、可能性の1つとして「カタパルト効果が発生したと考えれば、スピードがさほど出ていなくても、衝撃が激しくなったことの説明はつく」と語った。

 また、当局は事故現場の隣にある滑走エリアの範囲が正しく表示されていたか、問題となっている岩に標識や保護が必要ではなかったか、ゲレンデと岩の距離を十分にとっていたか調査している。

 加えて当局は、シューマッハ氏のスキー板の安全装置が正しく作動したかについても調査を行い、事故の責任の所在を明らかにすることを目指している。(c)AFP/Jean-Pierre CLATOT