■鉱山で放牧地分断、「トナカイ餓死する」

 21世紀の経済社会とサーミの伝統生活との間で摩擦が起きるのは珍しいことではないが、これほど大々的に展開される例は珍しい。7月には活動家たちが鉱山に通じる道路を体を張って封鎖し、このほど罰金刑を受けた。

 地元サーミ人コミュニティーのニクラス・スピック(Niklas Spik)氏は、「トナカイが野山を自由に動き回れないならば放牧は不可能だ」と訴える。Jaahkaagasskaは細長い地形にさまざまな植物が育ち、季節ごとに植生が変化する。ところが、鉱山計画はこの地形を全く考慮していないのだ。

 スピック氏によれば、鉱山は西側の山の放牧地と、冬でも草が茂る東側の牧草地とを分断する形で計画されている。開発が始まれば、トナカイたちは季節に応じて牧草地を移動することが不可能になり、餓死するしかなくなるという。

 スウェーデン北部では他にも、キルナ(Kiruna)やローンベック(Roennbaeck)で進む鉱山開発がトナカイの放牧地を分断し、粉じん被害や排ガス問題で近郊に悪影響を及ぼすとの批判が出ている。