EU首脳会議、銀行破綻処理一元化で合意 共通防衛政策では溝
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【12月20日 AFP】欧州連合(EU)は19日、今年最後の首脳会議を開催し、EU内の経済危機を乗り越えるための銀行の破綻処理一元化を正式に決めた。銀行破綻処理一元化に加盟28か国が合意するという大きな前進をみた数時間後に始まった首脳会議だったが、欧州共通防衛政策では各国の意見の違いが浮き彫りになった。
ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は、各国が軍備を出し合って共有することと防衛政策で足並みをそろえることの重要性を強調。またフランスのフランソワ・オランド(Francois Hollande)大統領は、無人機など特定の兵器をEU加盟国で共同開発できるのではないかと提案した。
これに対しイギリスのデービッド・キャメロン(David Cameron)首相はEUで一体の軍事能力を持つべきという考え方を一蹴、首脳会談は激しい議論の場となった。
その一方で加盟28か国が合意にこぎ着けたのは、銀行の破綻処理を一元化するという画期的な取り決め。これは銀行の破綻によりアイルランドなどの国に緊急融資が行われ、またEU全体の経済停滞につながったことを教訓に立案されたもので、EUへの国家主権の移譲という意味では単一通貨ユーロの創設以来最大規模の合意といえる。
これにより、業績不振の銀行の監督と破綻処理を単一の機関で行い、公的資金の投入を避けるため、破綻処理費用は各銀行が拠出する基金から出すことになる。ユーロ圏の17か国と来月ユーロを導入するラトビアはこの枠組みへの参加が義務付けられ、ユーロを導入していないEU加盟国には参加・不参加の選択肢が与えられる。
この「銀行同盟」創設はユーロ圏の安定性を高める措置と見なされており、EUに不可欠とされる成長と雇用創出に役立つことが期待されている。2014年はわずか1.1%の成長と引き続き高い12.2%という失業率が見込まれているユーロ圏は、経済刺激策を強く必要としている。(c)AFP/Hui Min NEO