■「新しい」新興財閥「ファミリー」の台頭

 従来のオリガルヒたちの影響力は、1994~2005年にクチマ政権下で政治権力の集中を防ぐチェックアンドバランスの体制が作られたことに由来するもので、これは2010年にヤヌコビッチ氏が大統領に就任するまで維持された。しかしこの「古い」体制に衝撃を走らせたのが、新たな政財界派閥「ファミリー」の台頭だ。

 ヤヌコビッチ大統領の長男オレクサンドル・ヤヌコビッチ(Olexander Yanukovych)氏(40)がこの一派の中心的人物だ。米経済誌フォーブス(Forbes)のウクライナ版によると、同氏の資産は5億ドル(約515億円)を超え、ウクライナ一の大富豪といわれている。

 この一派には他に第1副首相のセルヒー・アルブゾ(Sergiy Arbuzov)氏(37)や、デモに対する警察の弾圧の責任者だと野党から非難されている内相のビタリー・ザハルチェンコ(Vitaliy Zakharchenko)氏などが連なっている。

 しかし「ファミリー」の最重要人物は、わずか28歳にしてすでに石油業界の大物で「ゴールデンボーイ」と呼ばれているセルゲイ・クルチェンコ(Sergiy Kurchenko)氏だ。野党はクルチェンコ氏の台頭は本人の才能によるものだけではないと疑っている。クルチェンコ氏については、ウクライナ版フォーブス誌が自分の活動に批判的な調査記事を掲載した後、同誌を買収し、多くの編集者や記者が抗議の意思表示として辞職するという事態もあった。