■情報の透明性がスタンダードに

 この二つのオーガニック・チェーン・ストアは、店舗数や売上もさることながら、アメリカ版人気就職ランキングでは常に上位に入り、超優良企業として認識されているほどだ。その特徴とは何か。まずは、徹底的にオーガニックであるという点に着目したい。例えば、ホールフーズでは次のような取り組みが行われている。

<格付けシステム>
ホールフーズでは、多くの商品に対して独自に開発した基準をもとにした「格付け」システムが行われている。具体的には次のようなものだ。

・家畜飼育5段階評価システム(The 5-Step Animal Welfare Rating)
→家畜の飼育方法で牛肉や豚肉、鶏肉を格付け
・環境格付けシステム(Eco-Scale Rating System)
→家庭用洗剤を環境への配慮さで格付け
・漁業資源の持続可能性(Seafood Sustainability)
→魚介類の資源量や漁獲法、漁獲高、海洋生態系への影響を査定して評価

 このような内容で、消費者は購入する際に、それらの詳細な店頭表示をもとにすることができる。曖昧な表示ではなく、例えば家畜であれば、「檻やかごに閉じ込められていない」などのステップ1から、「生涯同じ家畜業者の農場で飼育される」ステップ5まで、明確な評価基準が設けられている。情報があふれる社会の中で、ものごとの「透明性」が問われているが、それはもはやここまで詳細な部分にまで求められるようになっている。
※参考資料1:http://www.wholefoodsmarket.com/about-our-products/quality-standards/animal-welfare-standards

<遺伝子組み換え食品の表示を義務付け>
2013年3月、ホールフーズは5年以内に同社の339店舗で販売される全ての製品に、遺伝子組み換え食品の表示を義務付けるという発表をしている。現在、アメリカでは遺伝子組み換え食品に対する議論盛んになっているが、そうした中での、ホールフーズの発表は衝撃をもたらした。共同最高経営責任者であるウォルター・ロブは次のように述べている。

 「イギリスでは馬肉混入事件、中国では牛乳にプラスチックが混入した問題、アメリカではアーモンドやピーナッツのリコール事件など、この問題は対処すべき時期にきています。消費者には自分たちの口に入る食品の原材料について知る基本的な権利があります」

 これらの取り組みに見られるように、ホールフーズは、生産者だけに留まらず、飼育・栽培方法まで徹底した透明性を追求し、それを消費者に示している。
※参考資料2:http://www.foodrevolution.org/blog/whole-foods-gmos/
※参考資料3:http://www.table-for-all.com/food-revolution/whole-foods/
※参考資料4:http://www.nytimes.com/2013/03/09/business/grocery-chain-to-require-labels-for-genetically-modified-food.html?pagewanted=all&_r=1&