【11月30日 AFP】米国は29日、小売業界にとって1年で最も重要な時期、年末商戦のシーズン到来を告げる「ブラックフライデー(Black Friday)」を迎えた。経済の低迷が続く中、競争にしのぎを削る小売り各社は消費者の財布のひもを緩めようと、積極的な商戦を繰り広げている。

 ニューヨーク(New York)のマンハッタン(Manhattan)では午前から買い物客の出足は好調だったものの、最高潮といえるほどのにぎわいはみられなかった。それでも、40%以上の割引を見込む消費者たちの興奮は感じられた。

 今年は深夜から早朝にかけての客足を少しでも伸ばそうとブラックフライデーの前日の感謝祭の日からセールを開始する動きも見られた。また、早い店ではブラックフライデーの1週間前から宣伝を始めていた。

 小売大手のウォルマート(Walmart)やターゲット(Target)は年末商戦の好調な滑り出しを報告しているが、アナリストらは、年末商戦の行方を占うとされているブラックフライデーの売り上げを判断するにはまだ早いとしている。

■発砲やけんかも

 小売業界にとっては幸先の悪さを予感させるような出来事も伝えられた。

 地元メディアによると、シカゴ(Chicago)では万引きをしたとみられる人に警官が発砲。バージニア(Virginia)州ではウォルマートの駐車場の空きスペースをめぐるけんかで男性が刺される事件が発生した。動画共有サイトのユーチューブ(YouTube)には買い物客で大混乱に陥ったテキサス(Texas)州内の小売店の映像が投稿された。

 そのほか、シカゴやダラス(Dallas)をはじめ各地にあるウォルマートでは、低賃金に抗議する授業員のデモが行われた。主催者によると46州の約1500店舗で行われたデモに数万人が参加。110人以上が逮捕された。

■消費者に不安残した財政赤字

 全米小売業協会(National Retail FederationNRF)によると、米国の小売店は毎年、年間売上高のおよそ20~40%をこの時期に稼ぎ出している。

 しかしアナリストらによると、今年は消費者の間に10月に起きた一部政府機関の閉鎖とデフォルト(債務不履行)の瀬戸際まで追いやられた米財政への不安感が残っている。また、改善傾向にあるとはいえ米国の雇用情勢も芳しくなく、世界経済も低成長にとどまっている。

 一方で明るさを感じさせる要因もある。全米自動車協会(American Automobile AssociationAAA)によると、ガソリン価格は1年前より1ガロン(約3.8リットル)あたり13セント(約13円)安い水準だ。株価と住宅価格の上昇で富裕層の景況感も改善している。

■売り上げの伸びは3%台か

 全米小売業協会は、今年の年末商戦の売上高を前年比3.9%増の6021億ドル(約61兆6600億円)と見込んでおり、売上高の伸びは2012年(前年比3.5%増)を上回ると期待している。しかし、経済危機の前は同6~7%増だったことを考えれば、まだまだ低い水準にある。

 一方、金融情報サービス会社モーニングスター(Morningstar)のアナリスト、R.J. ホットビー(R.J. Hottovy)氏は、前年比3%の増加にとどまると予想。給与税負担の増加と、医療保険制度改革で家計の出費が増えることに懸念を示している。

 ホットビー氏は「中低所得層の消費者にはまだ大きな圧力がかかっている。売り上げは低迷する可能性がある」と話している。(c)AFP/John BIERS