【11月22日 AFP】フランス・パリ(Paris)で今週起きた連続発砲事件で逮捕された容疑者の男が、「陰謀」や「メディアによる情報操作」を非難する内容のメモを残していたことが分かった。当局が21日、発表した。

 事件では、左派系新聞社リベラシオン(Liberation)本社で起きた発砲でカメラマン助手1人が重傷を負い、その直後に大手銀行ソシエテ・ジェネラル(Societe Generale)本店前でも複数の発砲があった。

 容疑者の大規模な捜索の末、仏警察は20日、過去に「ボニーとクライド」をほうふつとさせる事件としてフランスを震撼(しんかん)させた殺人事件に関与した罪で服役したことがあるアブデルハキム・デカール(Abdelhakim Dekhar)容疑者(48)を逮捕した。

 同容疑者は、パリ郊外ボワコロンブ(Bois-Colombes)の地下駐車場に止められた車の中で意識がもうろうとした状態で発見された。自殺を図ったとみられている。

 翌21日にパリ中心部の警察署に身柄を移され、捜査当局には24時間の勾留延長が認められた。当局によると、同容疑者のDNAは、事件現場から採取されたものと一致した。

 デカール容疑者の弁護人はAFPに対し、容疑者は取り調べに対し、黙秘権を行使して供述を拒否していると話した。

■「ファシズムの陰謀」

 捜査当局によると、犯行の動機を説明しようとしている作成時期不明のメモ書きが事件後に発見されたが、その内容は支離滅裂だという。

 パリ検察のフレデリック・モラン(Frederic Molins)検事は記者会見で、デカール容疑者がこれらのメモの中で資本主義を批判し、「メディア、銀行、郊外についての政策におけるファシズムの復興を狙った陰謀」について触れていたと説明した。

 また同容疑者は、「市民に嘘を吹き込むために金を受け取っている」としてジャーナリストらを批判。さらに、郊外に住む人々の「非人間化」を嘆いていた。モラン検事は、メモを精神科医に見せることも検討していると示唆した。

 また仏テレビ局BFMTVによると、メモの中には、リビアやシリア、アラブ諸国での状況に言及したものもあったという。(c)AFP/Cyril TOUAUX, Andrea BAMBINO