【特集】NARS2013ホリデーコレクション:フランソワ・ナーズQ&A紹介(一部抜粋)
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【11月20日 MODE PRESS WATCH】メーキャップアーティスト、フランソワ・ナーズ( FRANCOIS NARS)が手がける「NARS(ナーズ)」は、今年のホリデーコレクションに、フランソワ自身に多大なる影響を与えたファッションフォトグラファー、ギイ・ブルダン(Guy Bourdin)の世界観にインスパイアされたコレクションを完成させた。
そのスタイルとイコノグラフィーは、1991年にブルダンが死去した後も、ファッション写真の世界に深く浸透しています。ブルダンの魅惑的な写真はファッションの表現に心的な緊張感をもたらしました。
2013年のホリデーシーズンに向けて、フランソワ・ナーズはこのパリっ子のファッションフォトグラファーの野心的で挑発的な作品を映し込んだ限定版のユニークな製品コレクションを発表。パッケージ、フォーミュラ、シェードのいずれも斬新なコレクションだ。
僕はずっと彼の作品に心を奪われてきたんだ。8歳か10歳の頃、母がフランス版ヴォーグ誌を購読していて、僕もブルダンの写真を目にした。素晴らしい写真だった。1968~70年頃、ブルダンの写真がフランス版ヴォーグ誌に掲載されていて、目を奪われずにはいられなかった。子ども心に、モデルの女性たちとブルダンの撮影の仕方に惹かれたよ。モデルのポーズが強烈で、逆立ちになっていたり。メーキャップはどれも素晴らしくて、ヘアスタイルもすごかった。信じられないくらい洗練されていて、デカダンスな雰囲気があったね。(フランソワ・ナーズ)
■フランソワ・ナーズとのQ&A:
ーギイ・ブルダンにフルコレクションを捧げることに決めたのはいつですか?そしてなぜですか?
ギイ・ブルダンは、メーキャップアーティスト、写真家としての僕のキャリアに多大な影響を与えこれまでにも何度も彼に敬意を表してきた。今がこのコラボレーションを行うのに相応しい時だと思うけれど、これは5年前でも5年後でも良かったんだ。なぜなら、彼の作品はつねに、現代的であり続けるから。
ーギイ・ブルダンのどこに惹かれますか?
彼の写真はとにかく魅力的だ。確固たる創造力と、極めてアーティスティックなヴィジョンを持っている。単にモデルがまとった服を撮影するのではなく、それをはるかに上回ることをしている。ブルダンの写真は、絵画に近い。もっと評価されるべきだと思うね。
ーメーキャップアーティストとしてのあなたにブルダンはどのような影響を与えましたか?それはなぜですか?
彼の写真を見て、メーキャップをまったく違う角度から考えるようになったね。彼が撮影した女性の姿に夢中になって、雑誌からそのページを切り取って自分の部屋の壁に貼っていたよ。友だちが野球やバスケットボールの選手の写真を壁に貼っていた頃、僕はギイ・ブルダンの写真を飾っていたんだ。ブルダンの色彩感覚と女性モデルの撮り方は本当に素晴らしい。そして、どうしたわけか、彼女たちのメーキャップにひどく魅力を感じた。僕は常に強いルックを持つ女性に魅力を感じてきたからギイ・ブルダンはもちろん、ヘルムート・ニュートンやアヴェドンにも惹かれるね。
ーブルダンの写真の中で特に好きな作品は?
たくさんあるけれど、一つ挙げるとすれば、キャシー・カーク(Kathy Quirk)が下着だけを身に着けて受話器を手にしている写真*かな。この写真はオリジナルプリントを持っているんだ。メーキャップが素晴らしく、肌は抜けるように白い。※今回のコレクションのなかでは「ワンナイトスタンド」(税込7,875円/セルフセレクトショップ限定)に該当。今回のコレクションのために8~10点の写真を選んだが、その中で特に気に入っているのは、リップコフレ「フリング」のビジュアルに使った作品で、グリーンカラーを背景に女性がテーブルにもたれかかって丸い鏡を見つめているものだね。
ーブルダンのヴィジョンをこのビューティーコレクションにどのように採り入れましたか?
色彩がすべてだ。ブルダンの写真のメーキャップは、色彩が強烈。レッドとパープル使いが好きだね。コレクションをクリエイトすることは難しくなかった。ブルダンの写真をとてもよく知っているからね。写真の女性たちにどのようなメーキャップが施されているかがわかるから、それをコレクションに映し込むのは簡単だった。選んだ写真の色に可能な限り近い色を出したよ。パープル、グレー、極めてコントラストの強いカラー。これらを実際のメーキャップに採り入れたかった。パッケージもギイ・ブルダンの写真をイメージして、美しく仕上げたよ。
ーこのコレクションはギイ・ブルダンに敬意を表したものですか?
その通り。ギイへのオマージュだ。彼が与えてくれる素晴らしいインスピレーンへの感謝でもある。彼は子どもだった僕に幸せをくれた。彼の写真を見ているだけで幸せだったんだ。彼ほどの人だからできることだ。美を見出し、それを信じられないほど巧みに捉えている。彼の写真はファッションを超越しているよ。NARSがギイ・ブルダンに敬意を表するのは6度目だが、今回はこれまでの中で群を抜いて規模が大きいフルコレクション。若い世代の人々がギイのようなアイコニックなアーティストを知るのは良いことだね。こうしたアーティストたちはとてもモダンで、若い世代も彼らの作品に十分共感できると思う。彼らの写真は今なお、ある意味とても新しいから。
ーコレクションの中で使っている色について教えてください。
多く使っているのはパープル、スモーキーグレー。それからレッド、オレンジ、フューシャカラーの「リップスティック」、多彩な「ブラッシュ」。僕はチークが好きなので、苦労なくつくれたよ。写真をじっと見つめて、軽々とインスピレーションを得て、カラーをつくるんだ。彼の写真のすべての色をコレクションの中で表現している。
ーこのコレクションは、ブルダンの作品全体を表現していますか?それとも、ある特定の期間の作品を反映しているのですか?
僕にインスピレーションを与えてくれた作品と、僕が好きな強烈なメーキャップが使われている作品に絞り込んで、コレクションに表現している。ギイの素晴らしい写真の中には、顔を写していないものも多くある。彼にとって顔は脚と同じで、身体の一部分にすぎないのかもしれない。だからコレクションには、彼の全作品ではなく、メーキャップルックがとても印象的で僕好みな作品を映し込んでいる。メーキャップに直接関連する写真を選んだよ。
ーコレクションの中で特に気に入っている製品はありますか?
「ブラッシュ」だね。僕はチークが大好きなんだ。ブルダンもチークを多用している。それから「ネールポリッシュ」。レッド、フューシャの素敵なカラーが揃っている。楽しい色彩が爆発的に使われた1971~72年頃のイメージだ。とてもブルダンらしくて、納得してもらえると思うよ。
ーあなたとギイ・ブルダンは似ていると思いますか?
ブルダンと僕は互いにクリエイティブだけれど、タイプが異なる。僕はモデルのスチル写真を撮り、その中で創造性を発揮するが、彼は映画制作のようにセットや設定をクリエイトする。ブルダンは、シャルル ジョルダンの靴の広告写真を多く手がけ、これらは彼の作品の中でも最もドラマチックだ。とにかく、とてつもなくすごい。これらの写真のおかげで、シャルル ジョルダンは名を知られたのだから。ブルダンは今なら偉大な映画監督になっていたと思うよ。フレグランスのコマーシャルでもミュージックビデオでも彼に手掛けさせたら素晴らしいものができただろうね。今なら、もっともっと多くのことができたと思う。
(c)MODE PRESS