■ヒュー・エインズワースさん、記者

 ヒュー・エインズワース(Hugh Aynesworth)さんは当時32歳で、地元紙ダラス・モーニング・ニュース(Dallas Morning News)の科学担当記者だった。彼はあの日、記事を書くためではなくプライベートで、大統領の暗殺現場となったディーリー・プラザ(Dealey Plaza)へ行った。「大統領を見られる機会なんてそうそうないからね」と、エインズワースさん。「人混みがすごくて、よく見えるスポットを探しながらずっと歩いていた」

「大統領の車列が通過したとき、ジャッキー(ジャクリーン夫人の愛称)は、とても幸せそうで輝いていた。大統領は手を振っていて……そして突然、バイクのバックファイアーのような音が聞こえたんだ。でもそれはバイクから出た音じゃなかったと後で分かったけど」

「その後の2発はライフルからの銃声だと断言できた。人々はすぐお互いにつかみ合い、走り出したり倒れたりする人もいた。覆いかぶさるようにして子供を守る人、叫ぶ人、泣きだす人。現場はすぐにパニック状態に陥った」

■フィリス・ホールさん、看護師

 当時28歳でパークランド病院の看護師だったフィリス・ホール(Phyllis Hall)さんは、ちょうど昼休みに入ろうとしていたときに、上司からひそかに大統領の車列が「事故に遭った」ことを知らされた。すると、入り口のドアが勢いよく開いたという。

「みんなが叫んで混乱していた。コナリー知事が搬送されてきた。彼は重傷を負っていた。そして次のストレッチャーが来た」

「数分後に、そのストレッチャーで運ばれてきたのが大統領だと分かった」