■ピアース・オールマンさん、ラジオ局のディレクター

 ピアース・オールマン(Pierce Allman)さんは当時29歳で、ダラスのWFAAラジオのディレクターだった。彼はケネディ大統領の車列を見ようと、エルム通りにあるテキサス教科書倉庫(Texas School Book Depository)へ向かった。

「教科書倉庫の向かいの、あの通りの角に立っていた。車列が来たとき、私は手を振って『大統領、ダラスにようこそ』と叫んだ」と、オールマンさんは振り返る。

 オールマンさんは、ファーストレディーのジャクリーン夫人が「ピンク色の素敵なドレス」を着て群衆に手を振っていたこと、大統領が顔にかかった髪を払いながら「手を振っているように」見えたことを今でも鮮明に覚えている。

 そしてすぐにオールマンさんは「ドーン」という音を聞いた。「一生忘れられない音だ」と彼は言う。「でもその音が1発目の銃声だとは思わなかった。ライフルのような銃声には聞こえなかった。近くから発生したような大きな音だった」

「最初の音はクラッカーだと思ったんだ。そして次にドーンと、2発目が聞こえた」

「1発目が聞こえたとき、私は教科書倉庫の5階を見上げた。そこには窓際に3人の男たちがいて、6階を見上げていた」

「それで私も6階を見上げたが、何もかもがすごい速さで起きていて、そこにライフルを持った人物が見えたかどうかは断言できない」

 2発目で、オールマンさんは大統領が両手を首もとにやり、ジャクリーン夫人が叫ぶのを聞いた。そして3発目で、「大統領の体は横に大きく揺れた」と言う。