【11月12日 AFP】今年7月に退位したベルギーの前国王アルベール2世(King Albert II)が、退位後の手当として政府から毎年支給される92万3000ユーロ(約1億2000万円)について、額が少ないと不満を漏らしていると現地紙ルソワール(Le Soir)が報じた。

 ルソワール紙は匿名の情報源による発言として、アルベール2世が自分が望んでいたような待遇を受けていないとこぼしていると伝えた。

 アルベール2世は20年の在位期間を経て退位するまで、非課税の王室費として年間1150万ユーロ(約15億円)を支給されていた。しかし息子のフィリップ(Philippe)現国王に譲位すると、新たに定められた支給制度に基づき、前国王への受取額は税込みで92万3000ユーロ(約1億2200万円)、純額で70万ユーロ(約9270万円)に引き下げられた。

 ルソワール紙の王室番記者によると、アルベール2世には側近10人もあてがわれたものの、王室費の年間支給額について前国王は不満を漏らしている。特定の「関係者ら」は、前国王の意気消沈や不満の爆発を恐れ、支給額を間接的に増やす解決策を模索中。公邸に関する費用を政府から支出したり、前国王が所有する推定460万ユーロ(約6億円)相当のヨットの管理を海軍が引き継ぐなどの選択肢が検討されているという。

 ベルギー政府は7日、前国王への支給額を増やす可能性を一切排除する姿勢を表明。ルエリオ・ディルポ(Elio Di Rupo)首相は議会でソワール紙の報道に言及し、「直接的であれ間接的であれ、政府が(王室費に関する)この重要な改革の内容を変更する考えはない」と明言した。(c)AFP/Philippe SIUBERSKI