【11月8日 AFP】レストランで、どうしてこんな席に案内されたのだろうと首を傾げた経験のある人は多いだろう。

 風刺色が強いことで知られるフランスの週刊紙「カナール・アンシェネ(Le Canard Enchaine)」はこのほど、パリ(Paris)を代表する2店のカフェの座席案内基準は、客の外見だとする元従業員の話に基づいた記事を掲載した。

 パリの近代美術館「ポンピドー・センター(Pompidou Centre)」の最上階にある高級レストラン「ル・ジョルジュ(Le Georges)」を最近辞めたというウエートレス2人は、店側の指示で客を外見の良し悪しで振り分けていたと同紙に証言した。見目が良いと判断された客は入り口近くの目立つ席に案内され、良くないと判断された客は奥の人目に付きにくい席に案内されるという。

 この規則を守らない店員は店から非難され「何を考えてるんだ?あのテーブルにあんな不細工がいたら、店に入って来る他の客の目に付くじゃないか」などと罵倒されたという。

 また、ルーブル美術館(Louvre Museum)内にあるカフェ・マルリー(Cafe Marly)では、中庭沿いのテラス席が見目の良い客の特等席となっているという。電話予約でこの席を希望した客には一律「お席が確保できるよう最善を尽しますが、保証はできかねます」と告げ、実際に席に案内するかどうかは来店した客の外見を見て決めているのだという。

 店員たちが見た目を良くするよう強く要求されることも珍しくないという。元店員の1人は次のように語っている。「セクシーに見せるのが望ましいとされるんです。ミニスカートの裾丈を下着が見えてしまうぎりぎりのラインまで上げ、胸元は大きく開けるといったように。私は、ロングスカートを履くなとか、襟を十分はだけていないなどと注意されました」

 この2つのカフェは、他にも高級レストランやホテルを経営する飲食店グループ「ボーマルリー(Beaumarly)」が運営している。ボーマルリー広報はAFPの取材に応じなかった。(c)AFP