【11月8日 AFP】複数の回転する尾を持つように見える奇妙な小惑星を、米航空宇宙局(NASA)のハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope)を用いて、火星と木星の間で発見したとの研究論文が7日、英学術誌「アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ(Astrophysical Journal Letters)」に発表された。

 論文によると、大半の小惑星は小さな光の点としてしか見えないが、この小惑星には、車輪のスポークのように放射状に伸びている、彗星に似たちりの尾が6本あるという。

 研究を率いた米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California Los AngelesUCLA)地球宇宙科学部(Department of Earth and Space Sciences)のデビッド・ジューウィット(David Jewitt)教授は「小惑星を見ているとは、とても信じられない」と話す。「これを見た時はときは、あぜんとした。驚いたことに、小惑星がちりを噴出するにつれて、尾の構造が13日間で劇的に変化する」

P/2013 P5」と名付けられたこの天体は、少なくとも5か月間、ちりを噴出してきたと天文学者らは考えている。

 科学者らは、P/2013 P5が非常に高速で回転を始めたために崩壊し始めているのかもしれないと述べている。

 これらの尾は、1回の衝突によって発生しているものではないと科学者らは考えている。もしそれが原因なら、ちりは一斉に噴出するはずだからだ。

 この天体は、約2億年前の小惑星衝突によってできたのかもしれないとジューウィット教授は言う。ちりが間欠的に勢いよく噴出される傾向は、この天体が緩やかに消滅している様子なのかもしれない。

 ジューウィット教授は「天文学の分野では、1つ見つかると、ゆくゆくはさらに膨大な数が見つかる」と言う。「これは驚くべき天体であり、いずれ見つかるさらに多くのものの最初の1つであるのはほぼ間違いない」(c)AFP