【11月7日 AFP】2014年ソチ冬季五輪を翌年に控え、国連(UN)は6日に行われた総会で恒例の「五輪停戦」の決議案を採択した。その一環として開催国のロシアをはじめとする国々に「差別や隔たりのない、包容力のある社会を奨励」するよう呼びかけた。

 同性愛のプロパガンダを禁じる新法を立ち上げて以来、ロシアはネット上での大々的な抗議の他、著名人や同性愛の人権団体などから批判を受けてきた。

 この反同性愛法に異議を唱えるため五輪をボイコットする声が上がっていることについて、国際オリンピック委員会(International Olympic CommitteeIOC)のトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長は非難の意を示した。

 冬季五輪の開催自体にさほど大きな問題はないものの、バッハ会長は「どのような形でもボイコットには反対する。ボイコットはスポーツの精神に真っ向から矛盾しており、それが目指す平和や理解、結束といったものをないがしろにする行為である」と語った。

 UNでスピーチしたバッハ会長は、その中でロシアの法律やボイコットについて触れはしなかったが、「スポーツと五輪ムーブメントには、文化や社会、生き方の多様性が豊かさをもたらすという考えがある。われわれは何者も排他することはしない」と語った。

 また、バッハ氏は「スポーツの精神に反しない法律である限り、われわれはその国の法律を重んじる」とも話した。

 ソチ五輪組織委員会のドミトリー・チェルニシェンコ(Dmitry Chernyshenko)会長も総会では反同性愛の問題については語らず、伝統にのっとって五輪停戦の決議を発表した。

 ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領はこれまで何度か、ソチ五輪で同性愛者が差別の対象になることはないと宣言している。

 総会の後、チェルニシェンコ会長は、「ただ言葉を並べているだけじゃない。実際に行動で見せる。五輪開催中は宗教やジェンダー、性的指向に基づいた差別は起きないことを約束する」と話した。(c)AFP