■生き抜くことができたのは──

 監禁されている間に死にたいと思ったことはないのかとの質問には、誘拐された当時、まだ2歳だった息子のことを考えたら生きて帰らなければとの気持ちになったと答えたナイトさん。

「死ぬのは簡単な逃げ道です。でも息子には、私が被害者ではなく勝者であり、生き残ったということ、息子を愛しているということを分かってほしかった。息子の愛のおかげで、私は耐え抜くことができたのです」

■解放から受刑者の死まで

 3人がカストロ元受刑者宅で監禁されていたことは、ベリーさんが玄関のドアを壊して近隣住民に助けを求めたことから明るみに出た。デヘスースさんとナイトさんが閉じ込められていた住宅2階の部屋は、窓に板が打ち付けられて薄暗かった。この部屋からは大量の鎖も見つかっている。

 救出時、ベリーさんは監禁中に生まれた6歳の女児を連れていた。後日、カストロ元受刑者がこの女児の父親であることがDNA検査によって確認されている。

 カストロ元受刑者は7月下旬、終身刑の受け入れと引き換えに死刑を回避する司法取引に応じ罪を認めた。しかしその約1か月後、刑務所内で首をつり死亡している状態で発見されている。(c)AFP