【11月2日 AFP】英リスク評価会社メープルクロフト(Maplecroft)が30日発表した報告書によると、気候変動の影響を受けるリスクが「高い」または「非常に高い」国々の国内総生産(GDP)の合計は、2025年までに世界全体のGDPの約3分の1を占めるようになり、その割合は現在と比べ50%増加する見込みだ。

 メープルクロフトは193か国を対象に、気候変動の影響を受けるリスクと対応能力を評価した。

 気候変動の影響を受けるリスクが「高い」または「非常に高い」と評価された67か国のGDPの合計は、現在約44兆ドル(約4310兆円)。これらの国の大半は、温暖化が原因とみられている洪水や暴風雨、干ばつ、海面上昇などに対応する体制が整っておらず、インフラや資産の保護などに大規模な投資が必要だと報告書は指摘した。

 リスクが高い67か国のトップはバングラデシュで、次いでギニアビサウ、シエラレオネ、ハイチ、南スーダン、ナイジェリアなどが続く。インドは67か国中20位、中国は61位だった。報告書は「世界の成長市場の多くは、気候変動の影響を非常に受けやすい諸国にある」と述べた。

 都市別でリスクが非常に高いとされる上位5位は、バングラデシュの首都ダッカ(Dhaka)、インドのムンバイ(Mumbai)とコルカタ(Kolkata)、フィリピンの首都マニラ(Manila)、タイの首都バンコク(Bangkok)。これら5都市のGDPの合計は25年までに、現在の2750億ドル(約27兆円)から3倍に拡大し、8040億ドル(約78兆8000億円)に達する見込みだ。

 一方、米国や欧州の大半の国については、適応策に振り向ける資金が比較的豊富なことなどが、リスクが低い理由として挙げられた。

 報告書は、地球全体の平均気温の上昇を産業革命前と比較して2度未満に抑えるという国連(UN)の目標について、温室効果ガスの排出量が増加し続けているため、達成の見込みは薄くなっているとの見方を示した。また、気温上昇により、種の絶滅、水不足、作物の枯死、海面上昇による陸地の減少など壊滅的な影響が出る恐れがあると指摘した。(c)AFP