【10月18日 AFP】太平洋の島しょ国キリバス出身の男性が、世界初の「気候変動難民」としてニュージーランド政府に亡命を申請している。

 男性の弁護士が17日に発表したところによると、キリバス人のイオアネ・テイティオタ(Ioane Teitiota)さん(37)は、気候変動による海面上昇によって、国土の海抜が低いキリバスは水没の危機にあるとしてニュージーランドに難民認定を申請した。しかしニュージーランドの移民当局は申請を却下し、テイティオタさんをキリバスに送還する決定を下したため、テイティオタさんは今週、高等裁判所に訴えを起こした。

 マイケル・キット(Michael Kitt)弁護士は、テイティオタさんのビザの期限が切れていることは認めながらも、キリバスで遭遇する困難を考慮し、送還すべきではないと反論している。

 キリバスは30を超える環礁からなる国で、環礁の多くは海抜数メートルしかない。キット弁護士によれば、すでに国土の一部が海水に浸っており、穀物や飲料水に悪影響が出ている。ラジオ・ニュージーランド(Radio New Zealand)に出演した同弁護士は「真水は人間の基本的権利だ。しかしキリバス政府には、そうしたものを保障する能力も意志もない。何故ならば完全に彼らの手には負えないからだ」と訴えた。(c)AFP