【11月1日 AFP】米フロリダ(Florida)州で今年、水中の酸素を枯渇させる有毒藻の異常発生が原因で多数のマナティーが死んでおり、その数が記録史上最多に達しているという。保護団体の生物学者らが明らかにした。

 米保護団体「セーブ・ザ・マナティー・クラブ(Save the Manatee ClubSMC)」の発表によると、フロリダ沿岸に生息する脂肪の多い「海の住人」マナティーは、29日の時点で合計769頭が死んでおり、今年はマナティーにとって史上最悪の年になっているという。

 今年はあと2か月あまり残っているが、392頭のマナティーの死が確認された2012年全体と比較すると、すでに2倍近くの頭数のマナティーが死んでいる。

 フロリダ州野性生物保護局(Florida Fish and Wildlife Conservation Commission)によると、これまで過去最多だった766頭が死んだのは2010年で、この年は冬と春が異常に寒冷だった。

 マナティーは海岸線近くに生息しており、気候が寒冷化すると、「低温ストレス」として知られる状態を回避するために、泉の近くや水温が比較的高い発電所の流水路に避難することが多い。

 SMCの科学・自然保護部門の責任者は、マナティーの今年の大量死について、2つの「異常な大量死事象」を原因として挙げている。

 フロリダ州野性生物保護局によると、フロリダ州南部で今年の冬と春に、有毒赤潮の異常発生が原因で276頭のマナティーが死んだ。この死の大半は、ケープコーラル(Cape Coral)・フォートマイヤーズ(Fort Myers)地域のメキシコ湾岸(Gulf Coast)沖で発生した。

 2つ目の事象はまだ解明されていないが、ブレバード(Brevard)郡の大西洋岸沖で、不確定の原因により100頭以上のマナティーが死んだ。

 同責任者によると、これらの死は、2010年以降の様々な藻類の大発生と1万9000ヘクタールの海草が失われたことに関連しているという。

 今年死んだマナティーのうちの123頭は、死産または生まれたばかりの子どもや若い個体で、この種の死の区分でも過去最多の頭数となっている。

 フロリダ州で保護種に指定されているマナティーは、同州の中部と南部の沿岸部で近年行われている都市開発によって大きな影響を受けている。

 マイアミ(Miami)の湾内では、海岸沿いで3~4頭のマナティーの群れがよく見られるが、多数のマナティーが船と衝突して死んでいる。(c)AFP