【10月29日 AFP】シリアの化学兵器全廃に向け国連(UN)と共同で化学兵器関連施設の査察団を派遣している化学兵器禁止機関(Organisation for the Prohibition of Chemical WeaponsOPCW)は28日、査察期限となった前日27日の時点で、「安全上の理由」のために査察を終えられていない化学兵器関連施設が2か所あると明らかにした。

 オランダのハーグ(Hague)に本部を置くOPCWの発表によると、査察団は全23か所の化学兵器関連施設のうち21か所の査察を27日までに終えた。内戦が続く中での査察という前例のない使命を負った査察団は、シリア側が申告した同国内の全化学兵器関連施設を27日までに訪れる予定だった。

 だが、潘基文(Ban Ki-moon)国連事務総長は28日、AFPが入手した国連安全保障理事会(UN Security Council)宛ての報告書の中で、期限内に全施設の査察を終えられなかったものの、化学兵器生産施設の破壊は、計画通り11月1日までに完了する見込みだと述べている。

 潘事務総長によれば、査察団は、これまで査察を終えた全ての施設で化学兵器の生産・加工設備が破壊されたことを確認した。シリア側が申告した化学兵器関連施設23か所41設備のうち、37設備の査察が終わったという。

 化学兵器生産・加工設備の破壊期限は、シリアの化学兵器全廃プロセスで国連安保理が設定した最初の主要期限。保有化学兵器の全廃期限は来年の6月30日となっている。(c)AFP