【10月28日 AFP】中国広東(Guangdong)省広州(Guangzhou)の日刊紙、新快報(New Express)は27日、大手企業の「財政問題」についての記事を執筆したことにより当局に身柄を拘束された同紙の記者について、同日付の第1面に謝罪記事を掲載し、記者を擁護してきたこれまでの方針を撤回した。

 同紙の陳永洲(Chen Yongzhou)記者は、大手建設機械メーカー、中連重科(Zoomlion)に利益の水増しなどの「財政問題」があるとの記事を15本書き、「企業の評判を傷つけた」疑いで身柄を拘束された。

 新快報はその数日後、第1面に陳記者の釈放を求める論説記事を掲載し、同記者の記事を見直したが大きな誤りはなかったと主張するなど、当初は同記者を擁護する姿勢を取っていた。厳しい検閲を受ける中国の報道機関が、当局を批判するのは異例。

 だが、国営の中国中央テレビ(China Central TelevisionCCTV)が26日に緑色の受刑者服を着て罪を「告白」する陳記者の姿を放送すると、新快報は翌27日、一転して陳記者を非難する内容の記事を1面の下段の隅に掲載。「原稿に関する厳格な事実調査を徹底して行うための体制が不十分だった」、「問題の発覚後、われわれは不適切な対策を講じ、報道に対する国民の信頼に深刻な損害を与えた」と謝罪した。

 さらに、今後は「真剣に問題是正に取り組む」こと、記者や編集者に「ジャーナリストとしての職業倫理と就業規則を順守」させることを約束した。

 なお、中華全国新聞工作者協会(All-China Journalists Association)は26日に声明を発表、陳記者の行動を批判するとともに、新快報にも「責任がある」との見解を示していた。(c)AFP