【10月23日 AFP】エチオピアは18日、東アフリカでの天文学研究の促進を目的とする同地域最大規模の天文台開設を含む宇宙探査計画の第1段階を発表した。

 19日に正式開設したこの天文台には、口径1メートルの望遠鏡が2台設置されている。天文台長のソロモン・ベライ(Solomon Belay)氏は「この光学式天体望遠鏡は、天文学および宇宙物理学の観測研究を主な目的としている」と語る。観測対象は「太陽系外惑星、種々の恒星、天の川銀河(Milky Way)や深宇宙の銀河」だと同氏は補足した。

 エチオピア宇宙科学協会(Ethiopian Space Science SocietyESSS)が運営する総工費340万ドル(約3億3000万円)の天文台は、同国とサウジアラビアで活動する実業家のモハメド・アムディ(Mohammed Al-Amoudi)氏による出資を受けている。

 首都アディスアベバ(Addis Ababa)郊外、緑生い茂るエントト(Entoto)山中の海抜3200メートル地点にある天文台周辺は、雲の量が最小限で風は穏やか、湿度も低いため、観測に理想的な場所だと専門家らはいう。

 ESSSによると、同協会は2004年の設立時には「狂った人々のクラブ」というレッテルを貼られたが、大学に天文学課程が導入され、また徐々に政治的支援を獲得したことなどによって、この10年間で信頼を得てきたという。

■宇宙政策から、天文学ツーリズムにも熱意

 エチオピア政府は今後数年のうちに、宇宙政策を発表する予定だ。

 ソロモン氏によると、これまで長らく飢餓と動乱に苦しんできたアフリカ最貧国の一つであるエチオピアにとって、宇宙探査が資源の賢明な使い道なのかどうかを疑問視する国内外の声に当初、ESSSは直面したという。

 だが科学の推進は、農業を基盤に今日アフリカで最も急成長する国の一つとなったエチオピアの発展の鍵を握っているとソロモン氏は言う。「経済が科学と強力に結び付けば、貧弱な農業技術を産業化し、さらには近代農業に転換することも可能だ」

 ESSSは現在、古代の岩窟教会群で知られる北部の都市、ラリベラ(Lalibela)の山岳地帯の海抜4200メートル地点に2番目の天文台を開設することを目指している。

 また宇宙計画を世界で最も持ちそうにない国の一つに足を運ぶことに興味を持つ天文ファン向けに「天文学ツーリズム」を推進し、付加的な経済利益を得ることもソロモン氏は願っている。

 ESSSによると、エチオピアは今後3年以内に、気象学研究と通信の促進のための同国初の人工衛星を打ち上げる予定だという。(c)AFP/Jenny VAUGHAN