【10月8日 AFP】インドネシアのバリ(Bali)島で開かれているアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席している米国は8日、アジア太平洋地域における経済的影響力の強化にさらなる努力を傾けたが、地域の大国である中国は、この米国の動きに敏感に反応した。

 バリ島の5つ星リゾートで2日間の日程で開催されているAPEC首脳会議は加盟する21の国と地域の経済的な障壁を取り除くことを目指している。だが、大国がそれぞれ掲げる別の貿易協定の議題によってAPECの影が薄まっているのも事実だ。

■米国はTPP交渉に注力

 バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領の代理として出席したジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官は、ホスト国インドネシアと中国を含まないAPEC参加の12か国を束ねる大規模な自由貿易協定「TPP(環太平洋経済連携協定)」の早期妥結に向け、各国に働きかけた。

 米国は特許やクラウドコンピューティングを取り締まる方法など、21世紀における経済の複雑な変化に対応するための新たな標準としてTPPを支持。オバマ大統領がTPPの年内妥結を目指す中、ケリー国務長官は8日午後に11か国の首脳と会談している。

 だが中国や、TPP交渉を進める一部の先進国からは、TPPが最も裕福な国と最も強い企業に利益をもたらす貿易協定だとして懸念の声が上がっている。

■TPP批判する中国の貿易圏構想

 APECの会合で講演した中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は、「中国は全当事者に利益をもたらす環太平洋地域の協力枠組みの構築に取り組む」と表明。「太平洋各地でより緊密なパートナーシップが構築されるなどのスパゲティーボール効果(二国間協定などが乱立し、自由貿易政策が停滞する現象)を防ぎ、地域の統合を深化させるため、われわれはより協調しなければならない」と語った。

 この習主席の発言は、中国の国営メディアで8日、TPPに対する直接的な批判として報じられた。

 中国の国営英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)は一面で習主席の講演を取り上げ、「TPPはアジア太平洋地域の経済を支配しようとする米国の新たな手段と広くみなされている」と述べた。

 一方、中国とインドネシアは対抗する別の自由貿易圏構想を進めている。この構想は東南アジア諸国連合(ASEAN)が主導し、計16か国が含まれるもので、今週ブルネイで開かれる東アジア首脳会議(East Asia Summit)で話し合われる予定となっている。

■TPP会合はホテル外に移動へ

 また、インドネシアはAPEC首脳会議でTPPに大きな注目が集まっていることにいら立ちを示し、8日午後に予定されていたTPP関係の会合を公式ホテル外の施設に移動させた。この移動の理由について同国政府高官は「APECの影を薄くするような報道は望まない」とAFPに語った。(c)AFP/Karl MALAKUNAS