【6月12日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領の民主党に所属する議員らが12日、環太平洋連携協定(Trans-Pacific PartnershipTPP)の交渉が過度に秘密主義であり、米国の雇用喪失につながる恐れがあるとして懸念を表明した。

 議員1期目の民主党下院議員の過半数が署名した書簡は、オバマ大統領が政権の目玉となる優先事項として進めているTPP交渉が、「極度の秘密主義」の中で進展していると述べた。

 議員らは、オバマ大統領に「迅速な」貿易推進権限を与えることへの抵抗を表明。この権限が与えられれば、オバマ大統領のチームが交渉を行い、議会はその交渉結果について修正を求めることができないまま、賛否投票をすることになる。

「議会は米国の貿易政策を再び軌道に乗せるために協働しなければならい──その権限を手渡すのではなく」と書簡は述べている。

「貿易協定が公益に資するものであることを確認するわれわれの権限を弱めることは、米国の製造業と雇用を外国に移転させてわれわれの製造拠点を荒廃させた、誤った貿易政策を改革し、米国に雇用を創出するというわれわれの取り組みを台無しにするものだ」

 この書簡はウィスコンシン(Wisconsin)州選出の下院議員、マーク・ポーカン(Mark Pocan)氏がとりまとめた。

 TPPは、アジアにおける米国の存在感を高めるためにオバマ政権が掲げる「旋回」戦略の一部となっている。中国の台頭が目立つアジアにおいて、中国が交渉に参加していないTPPで地域の規則と基準を構築することが狙いの1つだ。(c)AFP