【10月1日 AFP】アジアで人気のソーシャルネットワークが、米国の大手ライバル企業との激戦が予想される欧州進出に向けて動き始めた。

 日本のLINE(ライン)と中国のWeChatでは、無料通話とインスタントメッセージ、画像や短い動画の送信が可能となっている。フェイスブック(Facebook)やスカイプ(Skype)、メッセージングアプリのWhatsAppなどを合わせて1つにしたようなアプリだ。

■欧州進出始めたLINE、一部の国ではすでに定着

 9月下旬、LINEの幹部らは積極的な広報活動を展開するため、フランスとイタリアに飛んだ。LINEのユーザー数は日本国内の4700万を含め、全世界で約2億3000万に達している。

 LINEはすでに欧州の一部の国に定着し始めている。スペインでは、スペイン1部リーグのサッカークラブ「FCバルセロナ(FC Barcelona)」と「レアル・マドリード(Real Madrid)」、人気テニス選手のラファエル・ナダル(Rafael Nadal)さん、さらには飲料大手コカコーラ(Coca-Cola)などのブランドと提携している。たとえばFCバルセロナは、アプリの公式アカウントに写真を投稿しており、すでに820万ユーザーから「友達」に追加されている。

 LINEはすでにスペインに常設の事業所も構えており、スペイン国内のユーザー数も約1500万ユーザーを獲得している。

 LINEの人気要素の1つは「スタンプ(stickers)」機能。従来の顔文字アイコンよりもはるかにオリジナルで楽しい方法で感情を伝えることのできる機能だ。WeChatでも、ダンスしたりキスしたりパンチしたりする動くスタンプを送ることが出来る。

 LINEでは有料スタンプの売り上げが収益の30%ほどを占めている。7月単月だけでも、800万ユーロ(約11億円)のスタンプが売れた。LINE運営企業の他の収益は、50%を占めるLINEに組み込まれたゲームからの売り上げと、提携や他製品などからの収益となっている。

■中国系移民頼みに世界進出ねらうWeChat

 WeChatは2011年1月にサービスを開始。現在は19言語で提供され、ユーザー数は5億ユーザー。そのうち中国国外のユーザーは1億ユーザーに上る。WeChatも年内のフランス進出を予定している。

 LINEはレアル・マドリードと契約したが、WeChatはFCバルセロナのスター選手リオネル・メッシ(Lionel Messi)さんをブランドの大使に迎え、CMなどを展開している。

 WeChatはまた、各国の中国系の人々にも大きな期待を寄せている。アジア地域でWeChatの顧問を担当するBNPパリバ(BNP-Paribas)のルノー・エドアールバロー(Renaud Edouard-Baraud)氏は、「たとえば中国系フランス人や中国系カナダ人。彼らは中国と世界を結ぶ架け橋だ」と述べている。(c)AFP/Tupac POINTU