【9月14日 AFP】米ハワイ(Hawaii)州で、姓が35文字からなる女性が、州当局に身分証明書の形式変更を訴え、運輸局から年内にも変更するとの約束を取り付けた。女性は姓の字数が多過ぎて最後の1文字が抜け、「名」が記載されない身分証明書に長年悩んできたという。

 亡くなった夫の家の伝統的なハワイの姓を使い続けているジャニス・ケイハナイクカウアカヒフリヒーカハウナエレ(Janice Keihanaikukauakahihuliheekahaunaele)さんは、身分証明書に姓の短縮形を使うつもりはなく、当局の行動を促すためにメディアを利用した。

 AFPの取材に対し、「ポリネシアの文化もハワイの名前も愛しています。この姓を名乗れるのは光栄なこと」と話したジャニスさんはこれまで、氏名を34文字しか記載できない運転免許証と、以前は35文字まで記載できた州の身分証明書の2枚を交付されてきた。しかし、今年5月に更新された身分証明書は運転免許証と同様の形式になり、姓の最後の1文字が抜け、名が書かれていなかった。

 その後、運転中に交通警官に停止を指示され、免許証の提示を求められたジャニスさんは、名の記載がないことを指摘されたため「当局が正確に記載してくれない」と訴えた。すると警官に「いつでも旧姓に戻せる」と言われ、とても傷ついたという。

「この22年間、土地がブルドーザーで整地され、文化が踏みにじられていくハワイを見てきました。警官も、私の名前を訳の分からない言葉のように扱ったんです」と憤慨したジャニスさんは、地元テレビ局KHON-2にこの問題を訴えた。放送してくれれば、当局に圧力をかけられると考えたためだ。

 すると放送から数日後、「変更には2年程度かかり、姓を記載する欄は今後も35文字分しか設けない」としていた運輸局が年末までに対応することを決定。同局の報道担当者はAFPに対し、「ジャニスさんのお気持ちは理解しました。年末までに、姓と名に40文字ずつ、「ミドルネーム」に35文字、「名前の後ろに付ける称号」に5文字を記載できる形式に変更する予定です」と説明した。

 ジャニスさんはニューヨーク(New York)出身で旧姓はワース(Worth)。1991年までウォール街で働いていた。友人からは「Loke」と呼ばれているという。(c)AFP