【8月23日 AFP】英警察当局は今週、エリザベス女王(Queen Elizabeth II)の所有するハクチョウ1羽を何者かが殺し、焼いて食べたとみられる事件の捜査を開始した。英国では野生のコブハクチョウは全て王室の財産とされ、殺した場合は罪に問われる。

 このハクチョウは18日、英ロンドン(London)西方のウィンザー城(Windsor Castle)近くのテムズ川(River Thames)の岸辺で、肉をさばかれ焼かれた状態で捨てられていた。発見した野鳥保護団体「スワン・ライフライン(Swan Lifeline)」のウェンディ・ハーモン(Wendy Hermon)さんによると、焼け焦げた死骸は巧みにさばかれ、胸肉が取り除かれていた。川岸で何者かがバーベキューをして、このハクチョウを食べたのではないかという。

 テムズバレー警察(Thames Valley Police)は、通報を受けて「ハクチョウ1羽の盗難」について捜査していることを発表した。このハクチョウは「殺害され、焼かれていた」としている。

■12世紀からの伝統、「王家のハクチョウ」

 英国では伝統的に晩さん会などで高級料理としてハクチョウの肉が供されていたが、1981年にハクチョウは法律で保護されることが決まった。

 また、12世紀にはイングランド(England)に生息するハクチョウは全て王家の財産とし、ハクチョウを殺したり傷つけたりする行為は反逆罪とみなす法律が定められた。現在も、所有者がいない野生のコブハクチョウは英国君主に所有権がある。

 ただ、エリザベス女王は所有権を有するハクチョウをテムズ川とその支流の一部流域にすむ個体に限定。英王室は毎年、ミドルセックス(Middlesex)、サリー(Surrey)、バッキンガムシャー(Buckinghamshire)、バークシャー(Berkshire)、オックスフォードシャー(Oxfordshire)各州のテムズ川流域でハクチョウの生息数調査を実施している。(c)AFP