【8月9日 AFP】アパレル大手「ユニクロ(Uniqlo)」を展開するファーストリテイリング(Fast Retailing)は8日、バングラデシュで4月に1129人の死者を出した縫製工場ビル崩壊事故を受けて策定された「バングラデシュにおける火災予防および建設物の安全に関わる協定(Accord on Fire and Building Safety in Bangladesh)」に署名したと発表した。同社はこれまで署名を保留し、批判を浴びていた。

 同協定には既に、欧州を中心に世界のトップ衣料ブランド70社余りが署名し、先月、バングラデシュ国内にある自社縫製工場の安全検査を9か月以内に行うと表明している。検査で工場の安全性に問題があると判明した場合は、改修費用を負担する。同協定には法的拘束力がある。

 同協定には各国アパレル企業の労働組合も署名している。だが、米アパレル大手の中にはまだ署名していない企業もある。

 パキスタンの衣料産業の規模はおよそ200億ドル(約1兆9000億円)で、中国に次いで世界第2位。しかし、各国の縫製工場が入居していた複合ビル、ラナプラザ(Rana Plaza )の事故は、縫製工場で働くバングラデシュ人労動者たちの劣悪な労働環境が浮き彫りになった。

 世界各地に1200店舗を展開するファーストリテイリングは、2010年にバングラデシュで、ノーベル平和賞を受賞した経済学者ムハマド・ユヌス(Muhammad Yunus)氏が創設した貧困層向け融資を行うグラミン銀行(Grameen Bank)グループのグラミンヘルスケア(Grameen Healthcare)と合弁企業「グラミンユニクロ(Grameen Uniqlo)」を立ち上げ、ソーシャルビジネスを開始。女性の経済的自立支援として女性たちによる戸別訪問販売で衣料品事業を行ってきたが、今年6月には台頭する中間層を対象に、首都ダッカ(Dhaka)に2店舗を出店すると発表している。(c)AFP