【7月29日 AFP】アジアで30秒に1人がウイルス性肝炎で死亡していることが新データで明らかになったのを受けて、シンガポールに拠点を置く非営利団体(NGO)「アジア太平洋ウイルス性肝炎撲滅連合(Coalition to Eradicate Viral Hepatitis in Asia PacificCEVHAP)」は26日、この病気と闘う政治的意志を強化する必要性を呼び掛けた。

 ウイルス性肝炎のまん延と闘うNGO、CEVHAPの陳定信(Ding-Shinn Chen)代表によると、アジアでは、1990年の69万5000人から増加して、年間100万人の人々がウイルス性肝炎で死亡していることが最新の統計データで明らかになっているという。

 米ワシントン大学(University of Washington)の主導による「世界の疾病負担研究(Global Burden of Disease Study)」の最新版を基に算出したデータによると、これは30秒に1人が肝炎で死亡していることに相当するという。この研究結果は6月に公表された。

 肝臓に定着して炎症を起こす肝炎ウイルスによる死亡率は、アジア太平洋地域では、後天性免疫不全症候群(エイズ、AIDS)の死亡率の3倍に上っている、と陳議長は言う。

 陳議長は「多くの国々で通常、これらの病気を取り巻く現状が示しているのは、乏しい理解と政治的関与の不足だ」と、28日の「世界肝炎デー(World Hepatitis Day)」に先立ち、シンガポールで発表した声明の中で述べている。「この衝撃的な死亡者数に歯止めをかけ、数百万人に及ぶ新たな感染を防ぐには、政府による包括的な取り組みが緊急に必要だ」

 感染症の研究者で、CEVHAPの共同書記長を務めるスティーブン・ロカルニーニ(Stephen Locarnini)氏は、アジア太平洋地域の各保健機関が、AIDSや結核 (TB) 、マラリアなどへの取り組みと同様の協調姿勢で、肝炎に対処するべきだと述べている。「これにはまず、国家的な行動計画の立案が必要で、われわれの専門委員は、世界保健機関(WHO)が提供する青写真に従い、この計画の立案において各国政府を助ける準備も用意も万全に整っている」(c)AFP