【7月23日 AFP】世界の全人口のうち、女子割礼(女性器切除)を経験した少女や女性は1億2500万人以上に上り、このままいけば今後10年でさらに3000万人の女児が経験することになるとの報告書を、国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)が22日、発表した。

 アフリカと中東29か国における20年間のデータを集約した同報告書によれば、女子割礼の慣習は減少傾向にあるものの、特定の国では「ほぼ全土に」残っているという。

 この慣習は、女性の外生器の一部または全部を切除するもので、陰核(クリトリス)を切り取ったり、陰唇を縫い合わせたりする場合もある。法規制ではこうした慣習をやめさせることはできず、特定の民族や地域にいまだ根強く残る伝統の廃絶をより多くの人が訴えるべきだと、報告書は指摘。女性の人権を侵害する行為とされているのにもかかわらず、女子割礼が各地で続けられている理由として最もよく挙げられるのは、社会的受容度の高さだという。

 女子割礼はキリスト教やイスラム教、アフリカの伝統宗教など、さまざまな信仰のもとで行われている。女性器を切除することで、いい結婚ができたり、見た目が美しくなったりすると信じられている地域もある。

 同報告書によれば、女子割礼を経験した女性の割合が最も高かったのはソマリアで、15~49歳の98%が経験していた。ギニアの96%、ジブチの93%、エジプトの91%がこれに続いた。

 分析に用いられたデータの量は国によってばらつきがみられたが、対象の29か国のうち、半分余りの国々で女子割礼の慣習が減少傾向にあることが分かった。ケニアやタンザニアといった国々では、経験者の割合が40代女性で15~19歳の女性の3倍と、大幅な減少傾向が確認された。(c)AFP/Kerry SHERIDAN